『****のバラード』
(始まり)
今になって
ヴィヨンの気持ちが良く分かる
死にそうなほど
ヴィヨンの気持ち
ヴィヨンの気持ち
ヴィヨンの気持ち
(4:44/地下室/ソファ)
耳を聾する騒音の中で
蟲が蠢く気配を感じた
(思い出し、検証する/15:38/快晴)
(始まり)
僕は/ついこの間/知った
手紙の消印
ナイン・ボールの落としかた
夢から取り出したチョコレイトの味
そして
心地良い寝相を
(これは村上春樹が知らないことだ)
ペトリコールの化学物質も分かる
(メモを取り出す/geosmin)
今になって
ボラーニョの優しさも分かる
萩原朔太郎の鳴き声も分かる
ワイルドの嫌悪も分かる
****
胡蝶の夢のGPS所在地
それから
まやかしも
缶詰を並べた理由だって
もちろん
柱の、影
キューブリックが33年後に夢見た
桃源郷/楽園も
(選択)
ヒドラ、
灯台の心許なさを思い出す
誰が、何を、この詩に望んだのか?
洪積世の雑巾がもたらしたもの
(バカルディを一滴、床に吐きだす
これは、意図的であっても偶発的であっても構わない)
不敵な、君の微笑みと囁き
帰れない笑窪
と
プラトン
染みだらけのランチョン・マット
鍵盤の上のシーシャ
経血塗れの革靴
螺旋階段
(斜体)
彼女はおたまじゃくしも読める
(ここからはもうひとつの詩)
君は光を見たと言うが
それは
ネオンだったか?
曙光だったか?
悪魔の涎だったか?
それとも照空光?
(戻る)
西瓜としゃれこうべ
(五行改行)
こうしたかけがえのないものを
僕らはいともたやすく
手に入れて/捨てる
(A→blank→B)
鍵穴の憂鬱
愛国者が履きつぶしたコンバース
三月の水の銃声
聖母のRe:cycle
セルバンテスの抜け落ちた乳歯
大丈夫だ
(sic.)
いち/zwei/trois/四/cuatro
the hundredth
0
恐竜
警備員
三文芝居はやめろ
毒虫の鼓動も
太陽の罪も
架空生物の舌舐めずりも
君が前髪を切り揃えた日付も
良く覚えている
(僕は髪を耳にかける)
地震と津波
四畳半にぶら下がった
ドイツ人医師
その脱け殻
ラ・マーガに逢おうとした理由も
アドルフが高速道路を作った理由も
漱石が倫敦塔を二度見なかった理由も
理由
ナオミの我儘と癇癪も
塹壕のクリスマスも
渋谷のハチ公が見た初雪も
地下室の手記も
(地下室、は既に書いたが意図的ではない)
人が少ない
(現実には沢山いたのだが、そう記してある)
ひとりの男を・殺しかけた
(その罪は檸檬にあった)
魔の山の構図も
僕の背広から飛び出した
栓抜きで開けた琥珀の口
そこから広がる深淵にも
君はキスをした
水曜日だった
灰色
×⚪︎⚪︎(要チェック)号室の
精神病患者の気持ちも
ピュグマリオンの気持ちも
ボヴァリー婦人の気持ちも
サングラスが隠したマッカーサーの弱さも
全ての詩人が
手に入れることの
できぬまま息を引き取った
林檎と蛇の所在も
モビー・デイックの墓場も
異常無き西部戦線の異常も
泥酔の夢で溺れ死んだ猫も
(漱石の猫とポーの猫は、本質的には別の個体であるが、ここでは同一のものとみなされている)
ハイリゲンシュタッド
ジャイサルメール
多磨霊園
それから、国道18号線
ロックウェルの三面自画像にも
僕を仇名で呼ぶ友人の引き出しにも
刃の元にも
永遠が無いこと
(引用)
そして
書生が訪れた海辺にさえ
アニエスの浜辺にさえ
君が知らせたカリフォルニアの海岸にさえ
(二人は天国を目指した)
天国なんて無いってこと
ドーナツの/穴
(rhythm)
虎
(続く)
禁煙の意味
君が屋上で話しかけた時のコンクリートの冷たさ
銃口に花を突っ込んだ男の死因
古代
In my life.
Boys don't cry.
I can't get no satisfaction.
(右に寄せる)℃
書記長が泣きながら
部屋に鍵をかけた
読まれていない/書かれていない
(α/β)
詩は此処にある/ない
なぜなら
羽箒は触れられてもいないし
僕はまだ口を一切開いていない
沈黙
目の前を黒猫が横切ったので
僕は君に逢いたいと思った
凍傷のはつ恋
(区切り)
(ここから二項対立)
白/黒
塩と砂糖もそうだ
革命
眠たい記憶の中で
自民党と民主等の軋轢を話した
瞼をこすりながら
ジーンズには穴が空いていた
前にも後ろにも
セントラル・パーク
収穫
誰とも繋がっていない
(分断)
剥き出しの実存主義者
断頭台の揺り籠
(既に書いた筈だったが)
サトゥルヌスの掌の角砂糖の数
キリンの縞
(記憶が飛ぶ)
自分が何語を話しているかも
定かではなく
◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎と巻き毛
それから、
明日を考えられること
(2日後、2度の睡眠を挟んだということ)
粘性
(回帰)
要するに何だって分かる、
自分のこと以外なら。
それから
(意図せず、再び話が逸れる)
現在地もーーー
(戻る。収束/収斂に向かう)
台所でスープを温める君の気持ち
それ以外ならなんでも
床に就く/家路に着く
A→Á
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